−ＹＢ会の小さな個展−



ヨルダンの遺跡

古林 学

　１９６３年にいすゞに入社した古林（学）です。 ＪＩＣＡのシニア海外ボランティアに応募して２年間ヨルダンで暮らし、今年５月に帰国しました。

　ヨルダンは、世界遺産のペトラをはじめとする多くの貴重な遺跡や、他の国では見られない美しい砂漠と山岳、渓谷など、素晴らしい 自然景観に恵まれています。しかし、馴染みのない方が多いと思いますので、 その一部を写真で紹介します。






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　まずはヨルダンを代表するペトラとジェラシュの遺跡です。 　ペトラは紀元前６世紀頃からこの地に住んでいたナバタイ人が険しい山中に建 設した都市で、エジプトとシリアやトルコ、ペルシャ地方を結ぶ隊商の中継地 として栄え、数万人が岩山に彫った住宅に暮らしていたとされています。
　この頃に作られた大規模な神殿や王墓、水路などは、岩をくり抜いて作られて いるので、後の大地震の被害を免れ、今日まで残された非常に貴重な文化遺産 です。

　その後、ローマ帝国の支配下でローマ様式の神殿や教会などが建設されました が、これらは他の遺跡と同様に地震で瓦解し、現在一部が復元されつつありま す。

　海路による交易の普及と共に、険しい山道を通る隊商による交易は廃れ、いつ しかペトラの都は廃墟となって西洋社会から忘れ去られてきました。
　１８１２年にスイスの探検家ヨハン・ルートヴィッヒ・ブルクハルトが、岩盤 に挟まれた深い峡谷（シーク）の先にバラ色の都市を発見した逸話は有名です が、今もその感動を味わうことができます。





ペトラの大シーク
このように美しい岩が両側にそそり立ち、空 も見えないような深い峡谷が２ｋｍも続きます。






ペトラの大シークからエル・ハズネ
大シークの出口で突然朝日に輝くエル・ハズネ（宝物殿）が見え た時の情景です。エル・ハズネは深い峡谷の中にあるので、朝日が全面に当た る時間はほんの３０分足らずです。






ペトラのエル・ハズネ全景
その美しさと巨大さに圧倒されます。 ここからは谷が開け、かつてのペトラの都に入るのですが、両側の岩に彫られ た多くの遺跡を見ながら進むと、やはり岩を彫って作られたローマ劇場に出ま す。







ペトラのウルン王墓
ローマ劇場の先の山肌に彫られた諸王の墳墓の一つ、ウルン王の 墓です。この山肌には、このような巨大で美しい墳墓が無数に並んでいます。







ペトラの山上にある修道院
ペトラの中心部を貫く列柱通りの先から深い渓谷に刻まれた山道 を４００ｍ余登った山の頂上近くに彫られたエッデイル（修道院）です。 ここまでは少し元気な観光客なら訪れることができますが、ペトラには美しい 渓谷や岩山が沢山あり、道なき道を山に分け入ると素晴らしい情景に出会えま す。







ペトラに残る水道橋
観光客が訪れることのない静かな山中に残された水道橋の遺跡で 、山に降った雨水を集めてとことん利用し尽すナバタイ人の水利技術の高さに は驚きます。








ペトラの水道橋を下から見上げる







ペトラの曲がりくねった狭いシーク
水道橋遺跡の近くにある、一人がやっと通れるくらいに狭く、く ねくねと曲がったシークで、初めてここを訪れた時には、先に出口があるのか 心配になるくらいスリリングでした。大シークには入口に雨水の流入を防ぐダ ムが儲けられていますが、シークには逃げ道がないので、ここで急に強い雨が 降ったら助からないでしょう。








ペトラの駱駝
観光客を乗せる駱駝です。駱駝に長時間乗るのは決して楽ではあ りません。







ペトラのベドウィン家族
ヤギの毛を編んで作ったテントに住む遊牧民ベドウィンの家族で 、元々広大なペトラ地区に住んでいた彼らにのみ、この自然保護区に住む権利 が与えられています。この家族は２人の兄弟が一緒に暮らしていますが、兄は ２人の妻を持ち、共に仲良く同居しています。






　次はローマ人がアラブの地に作ったローマ都市の中で、最も華麗かつ壮大な遺 跡の一つとされているジェラシュ遺跡です。　現在のジェラシュの街の地下と周 辺に当時の広大な都市が埋もれており、発掘、復元されたのはその一部に過ぎ ないようです。





ジェラシュ遺跡の春
花の季節を迎えた２月のジェラシュ遺跡の風景です。







ジェラシュの南劇場最上階からフォーラムと列柱通り
南劇場の最上階から見下ろした春の円形フォーラム（集会場）と 列柱通りです。







ジェラシュの列柱通り
列柱通りの近景ですが、乾季の６月にはこのように柴枯れ色に変 わります。







ジェラシュの北劇場
南北２つのローマ劇場は音響効果が良く、毎年夏に 催されるジェラシュフェスティバルの演奏会がここで行われます。







ジェラシュのアルテミス教会遠望
６月のジェラシュの風景ですが、夏が近づくと紫のアザミのよう な針状の花をはじめ、棘の多い草が茂ります。





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